おはようございます、東大化成の島田です。
7月9日(火)に大阪産業創造館で「ものづくりSDGsフォーラム」が開催されました。
私も参加し、興味深い内容だったのでレポートします。
【ものづくりSDGsフォーラム】
製造業のイノベーションで海洋プラスチックごみ問題を解決
概要
G20の主要議題として世界も注目
海洋プラスチックごみ問題、ものづくり企業はどう向き合う?
内容
「海洋プラスチック問題の解決に向けた環境省の取り組みについて」
講演:田代 忠彦氏(環境省 近畿地方環境事務所 資源循環課 首席廃棄物対策等調査)
田代氏からは世界のプラチックの規制と日本の海洋プラスチックの現状と対策の説明が行われました。
一部資料が環境省のホームページに記載されています。
プラスチックごみによる海洋汚染の状況
「循環型社会への対応 エフピコ方式のリサイクル」
講演:冨樫 英治氏(株式会社エフピコ 東京本社 環境対策室 ジェネラルマネージャー)
時代のニーズをいち早く予測し食品トレーを製造してきた株式会社エフピコですが、消費者を巻き込むことで現在では製造からトレーのリサイクル(トレーtoトレー)活動を取り入れています。
”使い捨て”ではなく”資源”と考えることで、エコ製品の啓蒙活動を続け循環型社会へ対応しています。
エフピコ方式の循環型リサイクル
リサイクルへのきっかけは1987年の米国マクドナルドのクラムシェル発泡剤による不買運動だそうです。強い危機意識による企業防衛が現在のリサイクル活動へと繋がっています。
「”紙でできることは紙で“ パッケージ業界動向と持続可能なパッケージ素材の開発について」
講演:内村 元一氏
(日本製紙株式会社 企画本部 パッケージ・コミュニケーションセンター 技術調査役)
パッケージを取り巻く課題は①サステナビリティ(資源問題)、②気候変動(CO₂排出量など)、③廃棄物問題(海洋プラスチック等)があります。
この課題に対して紙素材は再生可能資源、カーボンニュートラル、生分解性の特徴を生かし課題解決に貢献できると考え、日本製紙株式会社は紙製バリア素材「シールドプラス」を開発したそうです。
フォーラムでは「シールドプラス」のバリア性を体感するため、一人ずつお菓子が配られました。開封したとたんお菓子の香りが広がり、「シールドプラス」のバリア性を実感しました。
現在「シールドプラス」は長良園株式会社、無印良品の銀座ホテル、ローソンなどで採用されているそうです。
「生分解性プラスチックの現状と普及について」
講演:国宗 敬弘氏(株式会社クニムネ 専務取締役)
生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの種類と相関関係を分かりやすく説明して下さいました。
株式会社クニムネでは早くから射出成型による生分解性プラスチックの加工に挑戦しており、現在では耐熱性/非耐熱PLA(ポリ乳酸)製品のコップやうちわ、名刺入れなどの加工に成功しているそうです。
生分解性樹脂を採用するには①価格面、②品質面、③製造技術のハードルがあるが、チャレンジのない所に仕事は無いと厳しいくも温かいお言葉を頂きました。
また今後考えうるマーケットは広いので、沢山の業者に参入してほしいとおっしゃってました。
「可燃ごみとして扱える炭酸カルシウム配合樹脂製品の実用化と普及の現状」
講演:西宮 洋行氏(株式会社アースクリエイト 代表取締役)
自社取り扱い製品「STONE-SHEET」の特徴と海洋プラスチックごみ問題を含めた世界の環境問題についてお話されました。
「STONE-SHEET」は樹脂に炭化カルシウム50%以上を混合することで、一般ゴミとして取り扱うことができる樹脂成形品です。
従来のプラスチック製品と比べると、製造・廃棄の両工程において、CO2排出量が半減できます。
またプラスチック製の容器包装資材を用いる事業者は容器・包装リサイクル法により費用を支払う義務がありますが、焼却処分ができる「STONE-SHEET」では不要となります。炭酸カルシウムはすべて国産品(岡山県産)を利用しているので、価格変動の多い輸入の石油精製品より、大幅な原料費ダウンにも繋がります。
環境に優しい手提げ袋やボトルなど、企業からのオーダーを受けて開発・商品化を図っており、今後注目の製品になると思います。
最後に今回のフォーラムでは200社の企業が参加し、その内の4割以上がプラスチック製品の製造メーカー又はプラスチック素材の加工業者であったことから「脱プラスチック」に対する関心が高いかが分かります。
新しい情報が得られ、今後ますます発展していくだろうプラスチック業界の動向を引き続き追いかけたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。