今年の6月になりますが、プラスチック加工業にとって画期的な技術が発表されました。
それがこちら↓
『「亀裂」と「光」で世界最小サイズの絵画の作製に成功 -インクを使わずに超高精細な印刷が可能に-』
プラスチックに興味無い人はピンと来ないかもしれませんが、我々プラスチック加工業にとってはすごいニュースです!
印刷されたパッケージは残念ながら可燃ごみとなります。
でもこの技術を使えばプラスチックの廃棄量が減り、地球環境への保護に役立つこと間違いなし。
今回はこの気になるニュースを取り上げました。
目次
1.インクなしで印刷する技術
2.この技術のメリット・デメリット
3.この技術の応用すると?
インクなしで印刷する技術
通常印刷するにはインクが必要不可欠です。
それはプラスチックの印刷でも同じこと。
手法は違えどインクが必要なのは変わりません。
今回開発された技術はインクを一切使わず、素材に傷をつけることでプラスチック繊維が伸びて亀裂が入り、光の反射を使って色を再現します。
この時亀裂が入る現象を材料分野では「クレージング」といいます。
いまいちピンときませんよね。
研究グループを率いるシバニア・イ ーサン教授曰く、
『子供の頃、学校で手持ち無沙汰な時に透明なプラスチッ クの定規を繰り返し曲げていると、
曇ったような不透明な白色に変わってしまったことが あったでしょう。
それは定規(プラスチック)がクレージングしたということなのです。』
なるほど!
今回の技術ではこの「クレージング」を応用し、赤~青まで発色する素材を開発したそうです。
この技術のメリット・デメリット
<メリット>
・安価で精密な印刷が可能
1mm の葛飾北斎「神奈川沖浪裏」、世界最小サイズの浮世絵のプリントに成功。
出典:京都大学 高等研究院物質–細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)
・色褪せない
紫外線による退色が起こらない
・発色するための特別な機械がいらない
日常の光で十分印刷が見える
<デメリット>
・新しく傷が付くと色が変わる可能性がある
傷防止のためにコーティングが必要になるかもしれない
この技術を応用すると?
このニュースを聞いて真っ先に考えたのは、プラスチックに直接印刷できるとそのままリサイクルに回せるのではないかということ。
今まで印刷されたパッケージは廃棄されていましたが、この技術を使えば素材自体は全く変わっていないのでリサイクル可能となります。
ゴミを廃棄しながら、材料として再生しているようなイメージでしょうか。
これなら実質ゴミが発生していないようなもので、二酸化炭素の排出や「脱プラスチック」問題に貢献できると思います。
この技術が早く実用化されるのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。