今世界共通の課題となっている、海洋プラスチックごみ問題。
英国エレン・マッカーサー財団が2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で発表された内容から始まりました。
「2050年に海中プラスチックの重量が魚のそれを超える」
何の対策も講じない場合は、
「2025年までに魚3トンにつき1トンの比率にまで増え、50年には魚よりもプラスチックゴミの方が多くなる」
この衝撃的な内容に企業も危機感を覚え、昨今では地球環境を守るため、様々な対策が取られるようになりました。
悲しいことですが、海に浮かぶゴミは紙、プラスチック、金属など様々な物質が漂流しています。
その中で、なぜプラスチックだけが取り上げられるのか?
それはプラスチックが他の物質にはない特性があるため、世界中で問題になったからです。
海洋プラスチックごみのどこが問題なのか?、全4回でポイントをまとめました。
今回はその1回目です。
目次
1.海洋プラスチックごみとは?
2.マイクロプラスチックとは?
3.マイクロプラスチックは回収出来るか?
海洋プラスチックごみとは?
海に漂流しているごみはプラスチックに限らず、紙、布、金属、ガラス・陶器、プラスチックなど色々な物質が流されています。
なぜプラスチックが問題視されるか?
海を漂うゴミの約7割がプラスチックであると言われ、年間800万トンのプラスチックごみが海に流れていると世界経済フォーラム(ダボス会議)で報告されました。
これではプラスチックが海を汚していると言われてもしょうがないかと思わざる得ないですね。
またプラスチックの軽量・丈夫というメリットが、ゴミとして捨てられることで海で漂流しやすい状態になり、地球を汚す原因にもなってしまいました。
さらに海に漂流しているプラスチックがマイクロプラスチックになることで、海の生態系を崩していると報告されています。
マイクロプラスチックとは?
マイクロプラスチックとは何なのか?
一般的には、5mm以下のプラスチックのことを指します。
5mm以下のマイクロプラスチック
出典:公益社団法人 日本環境教育フォーラム
マイクロプラスチックは一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの2種類に分けられます。
一次マイクロプラスチックは、元から小さいサイズのプラスチックのことです。
例えば、歯磨き粉や洗顔料、ボディーソープに入っているマイクロビーズやプラスチック製品の原料となるペレットなどです。
スクラブ剤と言えば女性ならわかりやすいと思います。
「ポリエチレン(PE)」・「ポリプロピレン(PP)」・「ポリエチレン末」が成分表に書かれていると、マイクロビーズが混入されているということになります。
洗浄力を上げるために混入されていますが、あまりにも小さいものは下水処理を通り抜けて海へ流れているとの報告がありました。
現在では製造や使用に規制がかかり、日本企業の資生堂、花王、コーセーなどの化粧品会社がマイクロビーズを代替え素材に切り替えたと報告しています。
二次マイクロプラスチックは、元々大きかったプラスチックが太陽光や波の力によって、粉々になってプラスチックのことです。
例えば、海に漂流しているペットボトル・レジ袋などの日用品や災害などで流されてしまった漁具・農機具などです。
ゴミのポイ捨ても問題視されていますが、台風などの災害でも吹き飛ばされてゴミとなってしまうことも多く、また東南アジアや東アジアなどではごみ処理能力が追い付かず、プラスチックごみが流れてくることもあります。
マイクロプラスチックは回収出来るか?
では海に漂流してしまったマイクロプラスチックは回収出来るのか?というと、これが中々難しい。
目に見える範囲であれば、手や網ですくうことも出来ます。
しかし、海中に浮遊するマイクロプラスチックや海底に沈んだゴミの回収はとても難しいのが現状です。
では何も出来ないのか?というと、そうではありません。
日本では国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)がプラスチックの分布を調べるため、公開調査を実施しています。
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そして、バイオマスプラスチックや海洋性生分解性プラスチックも続々と開発されています。
海洋プラスチック問題を解決するには、ごみを出さない、ごみの回収方法の確立、プラスチックの代替品の開発・使用の3点が重要となってきます。
他人任せにせず、自まず分に何が出来るかを考えていきましょう。
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