海洋プラスチック問題を考える、3回目です。
前回はプラスチックによる海洋生物の影響について書きました。
前回はこちら↓
3回目のテーマは、
プラスチックが人間にどんな影響を与えるか
です。
人間は海洋生物と違って、ペットボトルやレジ袋を飲み込むことはありません。
しかしマイクロプラスチックとなれば、海洋生物同様に摂取する可能性も出てきます。
また、人間はプラスチックを使う立場でもあり、プラスチックをポイ捨てした結果、巡り巡って自分達に返ってくる影響もあります。
今現在報告されている結果をまとめました。
目次
1.プラスチックと健康被害
2.プラスチックと温暖化
3.プラスチックと経済活動
プラスチックと健康被害
人間がペットボトルなどの大きなプラスチックを食べることはありません。
もし体内に入るとしたら、マイクロプラスチックとなり、
①水からの摂取もしくは②魚や貝などの海産物から摂取することが考えられます。
①水からの摂取
WHO(世界保健機構)がマイクロプラスチックが飲料水に及ぼす影響について調べています。
その結果によると、上下水道の整備がされている国は浄化装置で殆ど除去出来ているため、現時点で健康に影響を及ぼす心配はないとのこと。
ただし、発展途上国のような上下水道の浄化装置がない国では、マイクロプラスチックによる高濃度の汚染が心配されています。
食品安全委員会:飲用水中のマイクロプラスチック
②魚や貝などの海産物からの摂取
マイクロプラスチックにより有害物質が濃縮された魚や貝を通じて、私達が摂取する可能性があります。
今の所、プラスチックによる人間の健康被害は報告されていません。
しかし専門家によると慢性的な影響がすでに起こっているのでは?との意見もあります。
例えば、発がん性リスクの増加、免疫力が低下、生殖機能が低下など、はっきりと効果が現れるのは何十年か後ではないかと言われています。
出典:海と日本プロジェクト
プラスチックと温暖化
プラスチックが海に漂流すると、温暖化にも影響があるとの研究結果が!
2018年ハワイ大学の研究で、プラスチックが太陽光や水により劣化すると、微量のメタンやエチレンなどの温室効果ガスが発生しているとのこと。
この研究により、更にこんな結果が!
・プラスチックが太陽光や水に晒されている時間が長いほど、温室効果ガスの発生が多くなる。
・海に限らず陸地でもガスが発生している。
つまり、ポイ捨てや災害などで投棄されたプラスチックは、出来る限り早く回収し処理する必要があるということですね。
出典:国連環境プログラム
プラスチックと経済活動
水産業を営む人々にとって、プラスチックが海に漂流すると、以下のような問題が発生し、経済的にも打撃を受けます。
・魚の収穫量が減り、プラスチックが網に絡まって魚が取れなくなる。
・プラスチックによる船舶の破損や漁具に絡まったゴミや漁獲物に混入したゴミの除去しなければならない。
・船舶や漁具の修理、回収したゴミの処分費用が掛かる。
・マイクロプラスチックとなり水産物に混入してしまうと、商品価値が下がり、風評被害にまで繋がる。
こんな状態がずっと続くと、将来的に水産業がなくなってしまうかもしれません。
無意識に行ったポイ捨てにより被害を被っている人々がいる現実は、真摯に受け止めなければなりません。
そしてそれは遠い未来のことではなく、今現在のことなのです。
続きはこちら↓
最後までお読みいただき、ありがとうございました。